付け下げについて |
余談ですが、ココロヤが個人商店から法人になりましたのは昭和26年です。
昭和26年は、昭和17年から戦時中を通しての「衣料切符制度」いわゆる「配給」が終わった年なんです。戦争中は呉服屋ができる訳もなく曽祖父や祖父は「市(いち)」を開いてしのいでいたそうです。着物が売れないって辛かったでしょうね、その年にようやく晴れて商売ができるということで、新たなスタートとして法人化したそうです。 「付け下げ」は、そんな時代の中で生まれました。東京の花街の姐さん方が「訪問着」では時節柄贅沢なので略式をということで誂えたと聞きます。 「小紋」は縞や格子、飛び柄など、柄に天地のないものが一般的ですが、例えば「山」という字を前見頃で上を向かせると、袖山肩山で折り返せば、小紋の要領では背中で「山」の字は逆さまになってしまいます。そこで柄が逆さまにならないように、袖山肩山を境に「柄付けを下げる」ことが「付け下げ」の語源になったとか。 小紋以上訪問着未満が、付け下げの基本スタンスで、小紋調子のものから訪問着と見紛うようなものもあり、幅広さが便利でもあり厄介でもあります。 話は逸れますが、京大阪では着物の着こなしと好みが違います。大阪は東京嫌いのようでいて東京の着こなしを取り入れます、京は京らしさを守られます。大阪は、着こなしが簡略化の傾向がありますが、京は伝統を守ります。隣町と言っていいほどの京大阪でも好みが違います、着物を取り巻く感性というのは伝統や、それぞれの土地のお国柄を色濃く受け継ぐものです。 そんな中「付け下げ」は用途があいまいですから、保守的な方面では「略式、格下、訪問着があれば不必要」という扱いになり、カジュアル化が進む都心部では「ご大層ではなく、着用機会も多いし便利」と評価が変わるのは面白いものです。 やはりココロヤも「付け下げ便利」派です。 ちょっとヨソユキからフォーマルまでの選択の幅の広さ、訪問着より気持ち軽い分、出番が多いお値打ち感など、程のよい優れものですから、ぜひ提案をしたいと思います。 今回「秋の音色展」でお披露目できるように「付け下げ」を染めてもらっています。 ![]() ご覧くださいましたら光栄です。 こころや「秋の音色展」2017 ![]() 藤岡組紐店さんが参加してくださいます! 2017年10月13日(金)より16日(月)の4日間 営業は11時~18時まで、最終日は17時 天満橋:マルゼンボタン2階ギャラリーにて
藤岡組紐店、藤岡潤全さんが全日来場です。 「さくさくプラス」の須賀さん、そして藤岡さんのお話を聞く会も開催予定です。 いつもと違う切り口で、新たな発見がきっとあるはずです、一同、美しい着物の世界へいざないます。 敷居を削って、いいえ、もとより呉服屋に敷居はありません、呉服屋は怖くないんです(悪徳ならば下町で130年も商売できません)ふらりと話だけでも聞きに、どんなものかだけでもご覧下さればと思います。 |
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