大決算市 |
![]() お客様のお家から、ひょっこり出てきはったそうです。 「こんなん出て来ました」と頂きました。 むかしむかしの「大売り出し」のチラシです。 この道60年のオバチャンや問屋のオッチャンに聞いたところ、物の値段から推察するに、50年くらい前のだそうです。 へぇぇ。 掲載商品は全て「実用呉服」ばかり。 着物が当たり前だった時代のチラシです。 「ブドー英ネル」1700円 「ブドー」って云うのは、最大手の呉服問屋「市田」の商標で、それぞれの問屋がそれぞれの商標を持っていた中、ブドー印って云うのはとりわけ絶対的な信頼があって、ちょっとしたブランドでした。同じ英ネルでも紡績会社によって品質が違って、ブドーの英ネルは大手の紡績会社の最上の生地を使っていたそうで、生地が良いと評判だったと聞いた事があります。 「本モス襦袢地」780円 問屋のオッチャン曰く「この頃だと原価は600円くらいやったはずや」だとか。 かなりお値打ちやと思いますが「この頃の売出しの利益なんてこんなもん」やったそうで、 「普段でも850円、900円ももろたら御の字やったんやで、今が高過ぎるんや」だそう。 へぇぇ。 「本モスみたいなもんは、10反束にして小売屋に売ってたんや、あんたとこやったら売出しの時は1日100反は売ってたはずや」とオッチャン遠い目。 ふぅぅん。 「純毛ウール着尺」1500円 「伊勢崎ウール着尺」2500円 伊勢崎と云えば、銘仙の産地でしたが、もうこの頃はウールにシフトしていますね。 伊勢崎は生地の良いので評判でした、ただの純毛と書いてあるのは八王子かと。 今もたまに、その頃の生地が回ってくることがありますが、伊勢崎は触りや軽さがあって、質の良さが一目瞭然です、だから当時も1000円も普通のウールより高いかったんでしょうね。 「男物ウールアンサンブル」5000円 50年前と云えば昭和30年代、しょうざん、ブドー、大同高栄、そんなメーカーが競って良いウール製品を織りはじめた頃でしょう、これが昭和50年代まで約20年続きます、僕もその晩期のウールを数着持っていますが、そりゃぁ素敵なイイものです。 「正絹の紬」「手織紬」 そして「横双の大島」 横双とは、ー柄を絣糸の横糸だけで表現している商品で、いわゆる大島の廉価版なんですが、お手頃なのでこれが良く売れたそうです。 どれもこれも懐かしいものばかり。 チラシを真ん中に、オッチャンオバチャンが昔語り。 それが、何とも興味深く面白くて仕方がありませんでした。 この頃は亡き父もまだ20歳前後でしょう、ひぃおじいちゃんも健在で、でももう隠居して大和に引っ込んでたかな。 おじいちゃんが第一線でバリバリやってた頃でしょうね、おじいちゃんで50歳くらいかなぁ。 「あんたのおじぃちゃんは男前でな、いっつも洒落た着物を着て、役者さんみたいやったんや」 っておじいちゃんを知らない僕に、近所の魚屋のオバチャンが良く教えてくれました。 このチラシはそのおじいちゃんが、印刷屋さんと作ったんでしょうねきっと。 じいっと見つめて、ちょっと感慨深くなりました。 ようこんなチラシあったなぁと。 ほんでよぅ見つけて持って来てくれはったなぁと。 感激しました。 家宝にします。 |
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たった今、ブドーの男物ウールコートが縁あって手元に届きました。今度見てくださーい!
2017-01-29 Sun 20:31 | URL | TAKE #-[ 内容変更]
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