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コーマと特岡

晒の中でも、とりわけ「特岡」は目が詰んでいるので染めが鮮やかで、糸が細いのでサラリとしなやかなところから、浴衣と言えば「特岡」が全盛でありましたが、今は「コーマ」にその地位を取って変わられています、ただ古い話ではありません、つい最近のことです

これが「特岡生地」
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これが「コーマ生地」
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違いがわかりますか?
目の詰みようも、織り方もほぼ同じです
違いは「糸」なんです
30番手でもって糸の細さも同じなのですが、処理の仕方が違うのです

特岡生地は「カード糸」を使い
コーマ生地は「コーマ糸」を使っています

「カード糸」はごく普通の木綿糸で若干の凹凸のある、素朴な糸です

「コーマ糸」はカード糸をコーマ(櫛)を使って、短かい繊維の除去と繊維の平行度をより良くする工程を経た高級糸です

特岡生地は、晒の中では最高級ですが、カード糸のざっくりした風合いがあります

コーマ生地は、コーマ糸を使っていますから、比べると艶があり、生地面がより一層平滑なところから、染め上がりが美しいのが特長です

ただ、見た目が良いから全てが良いわけでもありません

実は、特岡地の、コーマと比べれば、ほんのわずかな凹凸や節が、着心地にとって「サラリとした」効果を生み出すのです

ここ十数年ほどではないでしょうか、コーマ地で浴衣を染めはじめたのは「関西」だと言われています
見た目のツヤ感と、染め上がりのハッキリとした美しさが評判になりました
けれど「関東」では暫く特岡が使われました、コーマの滑らかさが逆に「体にまとわりつく」と嫌われたからです

確かに、いまでも関東関西に関わらず、職人さんは「浴衣地は結局、総合的には特岡がベスト」とおっしゃる方も多いです、毎日生地を触るからこそわかる感想なのでしょう、けれどもやはり、見た目の美しさ、ツヤ感が受け、今や江戸の老舗でもコーマ地が全盛になりました

どちらも良い点はありますから、甲乙をつけられるものではありません
戦後からの浴衣の変遷を鑑みても、あくまでも湯上り着だったものが、現在では夏のファッションの一部になっているのは「服の進化論、下着がどんどん上に出てくる法則」に叶ったことですから、より良い見た目の「コーマ」になるのは自然の流れでありますし、今は「変わり生地」もたくさん出て、本当に浴衣の世界も花盛りですから、備忘録的に

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2016-06-17 Fri 13:40 ∧top | under∨
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