伊勢木綿 |
聞くところによるとウチでは普段着としての太物(木綿物)は、ひぃおじぃちゃんの時代には、たくさん扱っていたようですが、おじぃちゃんの代には銘仙が流行り、父の代にはウールになり、僕の子供の頃もウールが主力で、また京都へ上がっても問屋でお目に掛かる機会も少なく、それに正味の話、一般的に木綿生地(久留米や薩摩上布などは別として)はご年配の世代のイメージが良くない、まぁこれはきっと丁稚ハンやお千代ヤン、モンペ、野良着の印象が強いのやと思うのですが(実際そうやったわけですけれど)そんなこんなで、てぬぐいやハッピなどの木綿使い以外では、オシャレな和の雑誌などではしばしば目にしていたものの、呉服屋特有の先入観もあり、恥ずかしながらあまり意識する事がありませんでした。
それが、ココロヤの普段着の主力商品であった、ウールが、京都筋や船場あたりから消えてしまったことや、親しくして頂いている方々が木綿をお召しになっている姿が良かった事などがきっかけになり、なおかつ色んな方々から「伊勢木綿はいいよぅ」ってお話を聞いたのが決定打で、もぅいてもたってもおられなくなり、今さらと思われる方もおありでしょうが、先週の金曜日に連絡をし今日あつかましくも押し掛けて参りました。 伊勢木綿の「臼井織布」さんです。 どこの馬の骨かわからん僕に、非常に熱い、そしてわかりやすいお話をたくさん拝聴しました。 共感できる事がたくさんありました。 着物業界のこと、問屋のこと、木綿の世界。。。 ここでは到底、書ききれませんが、年々和装の世界の良いものが、特に日常品としての良品が、まぁこれも時代の流れなんでしょうが、無くなって行き、染めも織も一度途絶えてしまえば、特に織は織機を壊してしまえば、もう二度とその特徴のある風合いを再現する事は出来ないと言われている中で、臼井さんのような方がいて下さるのは光明だと思いました。 当たり前ですが布は糸を織って作ります。糸の太さ、縒りの強い弱いの組み合わせで色んなバリエーションが出ます。 伊勢木綿の、糸、染め、柄、織り方の特色、よその地方の織物との違いなども、微に入り細を穿ち教えて下さいました。 織機が動いているところも、特別に見せて頂きました。 TOYOTAの前身である、豊田織機の百年以上(!)経った織機が整然と動いている様子は、圧巻で見飽きる事がありません。 最新鋭の織機が「新幹線」なら臼井さんの織機は「チンチン電車」か「蒸気機関車」 一生懸命動く姿は機械やのに、暖かみを感じました。 糸を触らせて頂きました、縒りを優しく紡いでいるので、軽く引っ張っただけでプツリと切れてしまうデリケートな糸でした。 「今の高速織機では織れません、糸がすぐに切れてしまいます」とおっしゃっていましたが、なるほどこの糸ではそうやろうなぁと納得。 あんな糸を織れるなんてすごい織機です、たくさんの歯車に、微妙な調整がされているんでしょうね。 江戸時代のカラクリ人形を思い出しました。 先人の物作りに対する真摯な姿勢が機械から伝わってきて、じぃんとしました。 そしてこれを守られている臼井さんに頭が下がりました。 背筋が伸びる思いです。 話変わって、結城紬。 あれは糸を優しく手で紡いだあと、そうっと、なおかつしっかりと織るのですが、そうするからこそ生地は強く、でも数年着れば綿に戻ってしなやかで柔らかく最高の風合いになるんですよね。 臼井さんの織機で生地が織られたものを見て触っていたら、結城と要領は同じやなぁと思ったんです。 綿の素材感をシンプルに生かした豊かな生地やなぁと。。。。。 デザインは昔ながらですが可愛いです。 「布団縞」なんか特に可愛いですねぇ、ポップなものから粋なものまでたくさん。 縞や格子のバリエーションの多さは今より昔の柄の方が気合いが入ってますね、きっと。 しかしえらい長居をしてしまいました。 楽しゅうて、ついつい。 帰りの電車でも、興奮醒めやらずなくらいでしたから。 あ、ほんの少し、分けて頂きましたよ。 早速店頭に陳列しようと思っています。 18,900円と15,750円の2タイプです。 細番手(薄手の生地)のものと、太番手(厚手の生地)があります。 木綿らしくて可愛いのは太番手のものですが、薄手の生地の方が着姿はイイかも知れません。 ま、そういう事はまた追って。。。 一反は私用品に仕立ようかと思っているのですけれども。。。 実際に着るのが、良さがわかる近道ですしねぇ。 お客さんより先におろすのは気が引けるのですが。 で、時期はまだ未定なんですが「伊勢木綿の会」みたいな事をやってみたいなぁと。 「展示会」とか「催事」は嫌いなんですが、本当に有り難い事に臼井さんにご無理申し上げたところバックアップして下さるとの事なので、お店が伊勢木綿一色で、素敵な生地に囲まれながらみんなでワイワイ楽しめるイベントを出来ひんかなぁと思っているんです、店に来て見てもらうだけも楽しんでもらえるような、なんかそんなことをしたいなぁと考えています。 また皆さん、良い案がありましたらご教示お願い致します。 ま、それはともかく。 今日は本当に良い物に出会えた素晴らしい日でした。 例によって写真はありません、一つの事に夢中になると、他の事に気が回らない悪い癖です。 まぁ写真は「伊勢木綿」で検索なさったらいっぱい出て来ます、ズボラ言いますけど。 |
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