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北野坂に

明日から神戸の北野坂周辺で「インフォラータこうべ」が開催されます。
皐月の空の神戸の街にお花の絨毯が敷き詰められます。

友人にお誘い頂いて、イベントの一つ「ファーマーズマーケット(クリックすると地図が出ます)」に5/3の月曜日、てぬぐいを出店させて頂く事になりました。

ファーマーズマーケットでは、無農薬のパンや野菜を出店されています。
てぬぐい、というか食べ物以外を出品するのはウチだけなので、ちょっとコ恥ずかしい気もしますが、青い空(天気予報ではそうなっていました)の下で楽しめたらイイなと思っています。

お時間おありでしたら、ふらりと遊びにいらして下さいね。
ちなみに友人は、オーガニックなパンを出しはります、美味しいですよ!
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2010-04-30 Fri 11:01 ∧top | under∨

祭のあと

今まで通りの静かなココロヤです。
でも、何か違います、あんなこともこんなことも、夢が一杯です。
ちょっと虚脱感もありますが、とある師匠のご襲名のてぬぐいにハッピを気合いを入れて調製しなければなりませんし、お求め頂いた伊勢木綿を、一点一点気持ちを込めて仕立て屋さんに出さねばなりません。
皆さん首を長くして出来上がりを待って下さってるんですから。

止まったらアキません、走り続けないと、そんな風にして下さっている皆さんに感謝しなければ。

イベントが終わって呑みに行ったならば、珍しく呂律が回らなくなる位、酔いました。
そんな事って、本当にないんです。
嬉しかったのと気を許せる友達だったのと、お酒がおいしかったのとで。。。。。

文楽を聞きました。
「妹背山女庭訓」昼の部の「妹山背山の段」が大好きで大好きで、飛んで行きました。

紀の国と大和の国の国堺、満開の桜の吉野川を挟んで敵対する太宰の後室定高と大判事、相思相愛の定高の娘雛鳥と大判事の子息久我之助、大悪人蘇我入鹿の無理難題に、両家は過去の行きがかりを捨て、涙ながらに子を手にかけます。たがいに相手の子の命を救おうとする一心なのを、川ごしに双方とも死んだことを知ったときには、時すでに遅し、頃は雛の節句、切腹をして瀕死の久我之助のもとに、せめてもとお嫁入りの道具の代わりにお雛様の道具を、首だけになった雛鳥は小さな御殿駕篭に乗せ、川に流して久我之助の元に向かいます。

琴の音と、満開の櫻、美しい舞台面に「嫁入り道具、行器、長持犬張子、小袖箪笥の幾さおも、命ながらへ居るならば、一世一度の送り物、五丁七丁続く程」と華やかなのに悲しい浄瑠璃の語りが胸を打って。。。

クライマックスの浄瑠璃の詞章がまた。。。
「倅清舟承れ。人間最期の一念によって、輪廻の生を引くとかや。忠義に死する汝が魂魄、君父の影身に付き添うて、朝敵退治の勝ち戦を、草葉の陰より見物せよ。今雛鳥と改めて、親が許して尽未来まで、変わらぬ夫婦。忠臣貞女の操を立て、死したる者と高声に、閻魔の庁を名乗って通れ。」

住大夫さんと、綱大夫の掛け合いは、奇跡を見るようです。
涙が止まりませんでした。

飲み会で笑って、浄瑠璃で泣いて。
我ながら道楽やなぁと思わないでもないですが。。。。。
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2010-04-25 Sun 13:09 ∧top | under∨

感慨無量

皆様、本当にありがとうございました。

もういらっしゃらないだろうと片付けはじめた矢先にいらして下さった、神戸のご夫妻様、N様
雑然としていて失礼致しました、ゆっくりご覧頂けましたか?どうもありがとうございました。

おかげ様で盛況の内に幕を閉じる事ができました。

皆様お一人お一人にお礼を申し上げんならんところですが、失礼ながらまずはこちらにて心より御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

坂道を転げ落ちるような業界の現状や、利益優先主義のお店が増える事の業界のイメージ悪化の悪循環。
値段競争によるチキンレースのような状況。
着物が大好きやのに、そんなことに悶々として弱気になって、どっちを向いたらええのやわからんようになりそうな中、色んな事を教えて下さった業界の方々や、こうして出会いを作って下さった皆さんや、来て下さった皆さんのおかげで、やっとこさ何か光がひとつ見えたような気がしています。
心から嬉しゅうて、涙がでます。

せやけど感傷にひたってる場合やないんです、これからがスタートやと気合いを入れます。

まずは次の企画に向けて、近江に行ったり、阿波へ行ったりしようかと。
うまくいくこともいかんことも、いっぱいあるでしょうし、ご迷惑もおかけすると思いますが、
またどうぞよろしくお願い申し上げます。

いっぱい修行します、そして女性方のお洒落心を、ドンクサイ僕にいっぱい教えて下さいね。
色んな楽しいことをいっぱいでしたいです!
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2010-04-22 Thu 01:06 ∧top | under∨

あと二日

「東風杏」こと三品さんのガラスの帯留。

「日比野琴」さんの「桃葉モデル」に「羽織のチェーン」

も大好評な『伊勢木綿とブログで評判の帯留たち』展です。
気持ちの良い方が作らはると作品にお人柄が出るのか、素敵さが倍増です。

店に入ったら買うまで帰さないって事は誓ってしませんし、まぁいっぺんご覧になって頂きたいです。

日曜日は、「桃葉さん」が来て下さって、大盛況でした。

『厚みのある的確なアドバイスに、こういう呉服屋さんが家の近くに在ればいいのに、と思う事しきり。』
と、嬉しい、有り難い事を書いて下さっていましたが、実のところ、まるで酔ったようで、何をしゃべっていたのかもあまり。。。。。お越しの皆さんに失礼が多々あったと思いますが、お祭りの中の出来事やと思ってどうぞお流し頂ければと。

母も子も、テンパり気味で、桃葉さんの光に支えられました。
だってお店が忙しい経験なんて、あまりありませんもの。

思えばバーゲンの時の洋服屋さんとか新地のママって、あのお客さん捌きってすごいなぁと。

僕はしょせん男ですから、ついつい自分の目線で『買い過ぎ!』とか言ってしまうんですが、桃葉さんと皆さんが心から楽しんでおられる姿を目の当たりにし、女性のお洒落ココロをわかってなかったんやなと反省したり、つい着回しのきく無難な色合わせになりがちなのを「帯と着物でアポロチョコのイメージ」とか「草履と花緒の斬新なコーディネイト」が目から鱗で、『遊びココロ』を肌で感じて、目の覚める思いでした。
ついつい「呉服の将来」とか「織や染めの組織や技法の違い」などとお堅い方に流れがちなのを、「ファッション」やねんなぁって事をあらためて気づかせてもらい、もっと綺麗なものを見たり聞いたりして、感性を磨かなきゃって思った次第で、皆さんに教えられる事がたくさんで、教えて頂いた上に買うて頂いて僕は何て果報者なんでしょう。

「お疲れじゃないですか」と有り難いお言葉を頂いています、そら疲れないと云えば嘘になりますけれど、そんな素敵な皆さんに支えられているんです、「疲れた」なんて云うてられますかいな。

本当にありがとうございます、引き続き、明日、明後日、少しでも多くの方に見て、触れて楽しんで頂きたいと思います。
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2010-04-20 Tue 13:35 ∧top | under∨

晴天日曜

三日目の「伊勢木綿とブログで評判の帯留たち」です。

今日は桃葉さんがお見えです。

昨日はバタバタして、お越しの皆様方どうもすみませんでした。
モリタマミさんから差し入れをいただきました!

ドリンク!

今日こそはテンパらないぞ!!

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2010-04-18 Sun 10:43 ∧top | under∨

初日完了

卯月には似つかわぬ冷たい雨のお足元の悪い中、本当にご来店ありがとうございました。
心より御礼申し上げます。

皆さん、場末臭漂う、雑な、かしましい店ですみません。

これに懲りずに、また遊びにいらして下さいね。

あ、通常は、7時すぎには店を閉めておりますが、イベント中はお客様がいらっしゃる間は無制限です。
店の奥がウチですので、8時なら普通に開けておきますし、会社帰りに寄りたいけれど、時間がという方がおられましても、ご一報頂ければ、お待ち申し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします!

さて皆様、明日もどうぞよろしくお願いいたします。
そして明日は待望の「正覚寺寄席」ですよ~

明日への鋭気を養うため、一杯行ってきます!
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2010-04-16 Fri 20:05 ∧top | under∨

まだ準備

皆様、明日、いや今日の朝から宜しくお願い致します。

まだ準備をしています。三時には寝たいです。

明日は早起きして住吉さんに行って神さんだのみをしたあとは、
開店までに仕立て屋さんのおばちゃんのところ(布施!)まで、
仕立て上がった、僕の伊勢木綿の着物を取りに行きます。
「伊勢木綿展」なのにウールを着てちゃ説得力がないでしょうし。。。。。

忙しくて散髪に行けていません、ボサボサなので多分ベレー帽をかぶります。
商い中は前掛けをするのが基本なので、
伊勢木綿、前掛、帽子。
きっと「毎日香」の「定吉」が店頭におります。

取って喰われそうな雰囲気が呉服屋の常ですが、
そんなお店じゃないので、リラックスしてお越し下さい。
名簿を取って電話攻勢、そんなこともしませんし、ご安心を(笑)
でも、あんまり話しかけられるのが苦手でらっしゃる方もいらっしゃるでしょうから、
思いの丈を紙に書いて貼付けました。

これは「正覚寺」の若奥様のアドバイスです、本当に助かります、有り難いことです。

あ、あと急遽、薄手の生地と、綿麻の生地も追加します!
やっぱりいる!って思ったので、臼井さんにご無理をいって手配して頂きました。

いつもはオバチャン臭と下町臭のするココロヤですが、何だか僕の店じゃないみたいになりました。
嬉しくて気合いが入って、始まるまえに燃え尽きてしまいそうです。

あ、粉浜駅からは改札を出て、まっすぐ階段を下りて、スーパーコノミヤを出たら、お布団屋さんのところを入って下さいね。
チンチンでんしゃからだと、商店街を北へまっすぐです。

明日はあいにくの雨模様のようですが、
皆様のお越しを心よりお待ち申しております。
何のおかまいもできませんが、どうぞごゆるりとご覧下さいませ。

それではお気を付けてお越し下さい。

末筆ながら、皆様なにとぞ宜しくお願い申し上げます。

                        こころや拝
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2010-04-16 Fri 01:32 ∧top | under∨

かわいい

伊勢木綿たちがココロヤにきはりました。
かわいい。
辛抱しきれなくて、梱包を開けちゃいました。
店内の模様替えそっちのけで、反物ばっかり眺めているものですから、異常に店が散らかっています。

それはさておき、わざわざ住吉界隈にいらして下さるのですから、我が住吉を心ゆくまで楽しんで頂きたいと思います。

まずオススメはこちら。

正覚寺寄席

17(土)に、歩いて行ける距離に在るお寺、
「正覚寺」さんで染丸師匠の寄席が開催されます。
大御所のおっしょハンが見れる、またとないチャンスですよ!

「正覚寺寄席~林家染丸一門会~」
15時開演@正覚寺本堂
(阪堺線「塚西」徒歩3分・南海「帝塚山」徒歩5分・地下鉄「玉出」徒歩10分)
木戸銭、2000円
林家染丸・林家染弥・林家染左(お囃子紹介あり)
問:「正覚寺さん」06-6671-6229

この会を開催するきっかけになったのは
夏の彦八まつりの林家一門のブースのくじ引きで
染丸師匠が描かれた掛け軸が当たった事だそう。
掛け軸のお披露目も在るそうです。

そしておなじみ「住吉っさん」

反橋
※反橋です、橋桁は淀君と秀頼公の御寄進だとか、御遷宮で架替をしてピカピカです。

角鳥居
※住吉の角鳥居です、四角の鳥居って珍しいそうですよ。

住吉三神
※住吉三神と神功皇后がおられる御本殿です、清々しい。

この他「五大力」「おもかる石」なんてものもあって見所満載です。
不謹慎ですが、二日酔いの時に住吉っさんに行くと治ります、不思議です。
空気がイイんでしょうかね。

住吉、粉浜は意外と好アクセス。

地図
※ココロヤマップです

梅田から25分、なんばから10分、天王寺から15分。
なんばからは南海線、天王寺やえびす町からはチンチン電車が便利です。
ちょっとだけ歩きますが、地下鉄四つ橋線の「玉出」からテクテクも可能です。

チンチン電車に揺られてもなかなか味がありますよ。

モ161
※緑色の電車は昭和3年製で現役では日本最古の車両です。

チンチン電車の住吉のダイヤモンドクロスは、たいてい撮り鉄のお兄ちゃんがいる人気スポットです。

今なら南海さんの「堺・住吉まん福チケット」って云うのもありますので、
新世界や堺を巡って、住吉って云うのも面白いと思います。

そして真打「粉浜商店街」

粉浜商店街
※商店街の住吉大社側の入口です

うしや精肉店
うしやさんです、お肉が安くて旨いんです。

井川豆腐店
井川豆腐店の若旦那です、神の舌の持ち主です。

「絹揚げ」や「徳松豆腐」は遠方からも買いにきはります。

オカキ屋さん「お多福堂」

かまぼこ屋さん「福田蒲鉾店」(鱧の皮、大好きなんです)

うどん屋さん「まるは製麺所」

コロッケ「内山」

ブリザーブドフラワーのイケメン店主や、気鋭の若手和菓子職人、焼いた鯛だけで勝負のお店、新鮮な魚、野菜。。。。。うーん書き切れません。

また商店街周辺には、

「豆めし廣田家」

「お好み焼、白樺」(大好きなお好み焼屋さんです)

「玉子コロッケ、やろく」

「邯鄲小吃館」(知るひとぞ知る、隠れ家的なお店です、有名な料理人さんもこっそり通いはります、今週から近くに移転したかもです)

「住之江味噌、池田屋」

なんて名店もあります。

すみません欲張り過ぎました。。。。。

あ、あと一つ!こんなディープな店があります。
たまに行く、スタンド居酒屋「居酒屋泉」(ブログです)がなんと「ミーツ」に乗りました!
これは驚いた。。。。。
女性だけで行くと、もみくちゃにされるかもわかりませんが、根性のある人は是非!

あ、それと友人で、「コラボてぬぐい」「OJICO」が、なんばの高島屋に出店中です、こちらもどうぞよろしくお願い致します。

欲張っていっぱい書きましたが、どうぞ皆様、お気を付けていらして下さいね。
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2010-04-13 Tue 22:56 ∧top | under∨

もうすぐ

金曜日からの「伊勢木綿とブログで評判の帯留たち

伊勢木綿の表

準備を粛々と、淡々と進めています。。。。

嘘です、ちょっとテンパってきました。

深呼吸。

伊勢木綿には、何種類かの生地があります。
着物に最適なのは、ちょっとザックリ感のある生地と(18,900円)、柔らかめの薄手の生地です(15,750円)。

皆さんに人気なのは、ザックリ感のある生地(18,900円)なのですが、臼井さんが推してはるのははサラリとした、15,750円の方です。
着物に仕立てた時の着姿の柔らかさは、僕もこっちの方(15,750円)がイイなぁと思っています。
ただ風合いの可愛さは18,900円の方に軍配が上がりますかねぇ。

この生地の違い、糸の番手(カンタンに云うと太さ)の違いなのですが、ザックリした風合いの方が20番手、薄手の生地の方が30番手です。

例えば同じ木綿の生地で同じ番手の糸を使っているものは、てぬぐいの「かまわぬ」さんのてぬぐいが20番手、ちょっとざっくりしてますでしょ。
で「ウチ」や「にじゆら」さんのてぬぐいが30番手です、サラッとしていると思います。

ちなみに浴衣地は30番手なんですよ。

昔は、ザックリした生地は野良着や仕事着、サラリとしたほうの生地は湯上がりやくつろぎ着に好まれました、使い勝手からのチョイスなんでしょうね。

木綿の生地の常識から言うと、番手の数字が20、30、40と上がって行くほど価格も上がって行く理屈なんです、だから30番手の生地のほうが高くなくちゃいけないはずなんですが、でもやっぱり人気はザックリしたほうの生地(20番手)で、本来なら高いはずのサラリとした方は『あんまり出ないから「お試し価格」にしています』とは臼井さんの弁。

糸の番手にも、物語が。

ちなみに今回はザックリした生地に統一しました。
「風合や匂い(雰囲気)が全然違うしいっぺんにザーッと展示するよりも、シンプルに絞り込んだほうがイイと思う。また夏の風が吹いてきたら、綿麻やら、サラリとした方のものを送りますから」
と臼井さん。
ありがたい事です。

楽しみがまた一つ増えました。

それと、ちょっとでも気軽に試して頂きたいので伊勢木綿のお仕立て代は
手縫いで13,650円
ミシンで11,550円にします。
贅沢はいいません。

木綿なので自分で縫おうかな、って思われる方で、裁断がちょっと。。。。。
って方は、ウチの母が裁ちますので、どうぞお気軽におっしゃって下さいね。
当日もし忙しくなったらちょっとお時間いただくかもですけれど、待ってもらうあいだ、住吉っさんとか商店街散歩や「正覚寺寄席」でお楽しみ下さい。

「七緒」じゃありませんけれど、2反を片身変わりとかももちろん出来ますし。
そのほか色んな事を楽しみながら作り上げていければイイなと、ドキドキしています。
皆さん一緒に楽しんで下さいね、そしてテンパッってたら裏拳で突っ込んでくださいね。


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2010-04-12 Mon 18:18 ∧top | under∨

花を見に

大旦那「玄白翁、足はくたびれはせぬかヱ」
玄白翁「イイヱいナ足には年は取らせませぬ」
大旦那「梅と違ごうて、桜は何となしザワザワとせわしなうていかぬ」
玄白翁「此よりあつちの方へ回りますると、八重や型の変わったもんがごわります」
大旦那「ホナ向こうの方を見て帰ることにいたしませう」
玄白翁「モシ旦那、あすこで藝妓やらを集めて踊つてゐのはお宅の番頭はんでハ」
旦那「何を云ふのぢや、ウチの治兵衛があの半分の真似でもしてくれれば何云ふことやある。アレはまるで日増しの焼餅。今日もウチの若い連中に小言を云ふてゐるのを聞けば『藝妓といふ粉は煮て喰ふのか、太鼓持ちといふ餅は焼ひて喰ふのか』アホなこと言うてある。あないなものを見たらば目をまわしおります」
玄白翁「イイヱあれはお宅の治兵衛どんに間違いおまへぬ」
大旦那「玄白翁、だいぶとお眼がいかぬとみえる。デハひとつ眼鏡をかけて、似たお方の顔を拝ましてもらお。オオ玄白さんアリャ治兵衛」
玄白翁「違いごあはん」
大旦那「何じゃやら芸妓も太鼓も丸呑みぢやないか、えらいことな今更あと戻りもでけぬし、こんなところへ顔見せてやるのも可哀相ぢやて」
玄白翁「あのそばを抜けて通つたらどうでごわります」
大旦那「そうでもしませう」

番頭照れさしたらいかぬと云ふので、そつと脇の方からすり抜けようとする。向こうがこつちへ来るとこつちの方からそつとそばを、ところが酒飲みと云ふやつは嫌がつてるといふのが分かるものなれば、こつち来たらこつち、こつち行たらこつち。

番頭「サア逃がさんぞ、サアサア」
大旦那「何をするのぢや、ちやつとこりや人違いぢや」
番頭「逃がすものかい、サハサハこつちへ来い。ソレソレ捕まえた。こっちへ出て来い。」
大旦那「コレコレ堪忍。」
番頭「何が堪忍、茂八か、一八か、どいつぢや。オオこれハこれハ、旦さんでごわりますかいな、長らくご無沙汰を致しております。承りますれば、お店も日夜ご繁昌やそうで。」
大旦那「何を言ふてなさる、年寄りをつかまえてニワカの相手をさすのは殺生ぢや、べべが汚れる、お手を上げなされ。皆様方コレはウチの大事の番頭さんぢやによつてケガをささぬやうに遊ばしてやって下されヤ、ご如才もあろまいが、夕景はちやつと早よう帰してやっていただきますやうにお願いいたしますぞヱ、玄白さん行こか汗かかしよったナ」

おなじみ上方噺の名作『百年目』のヒトコマです。

所用ついでに大川は桜宮を散策すれば、ついついこの情景が浮かんできました。
桜になれば思う事ながら、満開の桜の下で、花見弁当に、花見酒、船遊びに、芸妓太鼓を引き連れて「目んない千鳥」いっぺんで良いから、そんな事がしてみたい。。。。。

さくらさくら
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2010-04-09 Fri 12:38 ∧top | under∨
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